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6月中旬にもリリース「濃厚接触通知アプリ」について思ったこと

安倍総理は5月25日の会見で濃厚接触通知アプリを6月中旬に導入すると明言しました(毎日新聞)。
このアプリ、AppleとGoogleが協力して開発した接触通知APIを使いますが、どんなものになるのか。

簡単に書くと、この接触確認アプリによって自分と濃厚接触と判断された他人の誰かが検査で陽性と診断された場合、その人がアプリで申告すると、その人と濃厚接触した全員のスマホに通知が届く。さらに、それらの人々がそれぞれアプリで申告することで、濃厚接触の範囲がわかるというもの。

毎日新聞の記事によると、

  • 利用者本人が同意の上アプリをダウンロード
  • Bluetoothを使い、1m以内で15分以上という濃厚接触条件を満たすと、お互いのスマホに暗号化され記録
  • 医療機関で利用者が陽性判明&アプリで申告(任意)すると、その利用者と2週間以内に濃厚接触した別の利用者に通知
  • 通知を受けた利用者がアプリで申告(任意)すると、保健所が接触した人の拡大状況を把握できる

という仕組みだそうです。

位置情報を使う中国や韓国のアプリよりも、位置情報を使わず個人を特定しないBluetoothを使い、情報もスマホ内に収まることで、プライバシーが重視されることはもちろんですが、もう1つの注目は、アプリの申告が任意となっていること。
というか、そもそもアプリのダウンロード・インストールも任意となっているのです。

なお、この手のアプリは、ある程度の人数が使わないと正確なことはわからないようで、「オックスフォード大学によると、人口の56%、スマホ利用者の8割が使わないと感染症対策にならない」(毎日新聞)そうです。


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iPhoneに導入された接触通知API


スマホのバッテリー消費についても懸念がありそうです。
GPSによる位置情報を使うよりはましでしょうが、Bluetoothを常時有効にしたままにすることで、それ相応のバッテリー消費は避けられません。
バッテリーの減りが早いのでアプリを削除した、というケースも出てくるかもしれません。


ところで、ひとつ疑問、というか心配なこと。

アプリをインストールし、いざ感染した場合にはその本人がアプリで申告したとして、その後入院するなど隔離・治療を受けるのは現在もそうなんですが、その感染者と濃厚接触したと通知が届いた人々、つまり濃厚接触者はどうすればいいのでしょうか。
とりあえず自己隔離をするべき(濃厚接触者は原則2週間の待機が求められる:朝日新聞)でしょうが、現実的には会社や学校などに知らせなくては自主隔離などできそうもなく、結局は個人を特定されてしまうのではないでしょうか。しかも単なる個人としてだけでなく濃厚接触者として。しかも感染するかもしれないという恐怖も少なくとも2週間は抱えるのです。

これは日本だけの問題ではないですが、新型コロナウイルス感染者への差別がひどいです(法務省:新型コロナウイルス感染症に関連して -不当な差別や偏見をなくしましょう-)。
そして感染者だけでなく、濃厚接触者,医療従事者などに対する偏見や差別は深刻な問題となっています。

たとえ濃厚接触したと通知を受けたとしても、それを知るのは本人のみです。政府やアプリ開発者、AppleやGoogleにも知られることはないはず。

以上のようなことから、アプリに申告することをためらう濃厚接触者が少なくないのではないかと思うのです。

来月中には濃厚接触通知アプリがリリースされます。
それまでにはもっともっといろいろなことがわかってくるでしょうし、いろいろな意見が出てくるでしょう。
そうしたことを収集し、1人1人が判断していく必要がありそうです。