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MacBook 12インチのSSDはApple自社製フラッシュメモリコントローラ搭載 垣間見える次の大飛躍

新しいMacBook (Retina, 12-inch, Early 2015) を分解したiFixitは、これまでに発売された全てのMac製品にない大きな事実を発見しました。

新型MacBookは、他社製フラッシュストレージを搭載していません。
フラッシュストレージは、従来Samsungや東芝によって製造されAppleに供給されてきました。

ついにAppleは、自社製品おいてプロセッサに次いで最も重要な構成要素であるフラッシュストレージチップの自社製造を成し遂げました。

iFixitによって得られたチップに社名はありませんが、Apple製のようなパーツ番号「338S00055」が印字されています。
ICチップ調査会社ChipWorksは、それがTSMCによって生産され、明らかににAppleのカスタムデバイスであることを確認しました。

OS Xのシステム情報では新型MacBookのストレージは「Apple SSD AP0512H」という名称で表示されています。そこからこのストレージはApple製ではないかという指摘がなされていましたが、今回、それが確かめられました。

それでは、この事実は、ユーザーにとって、あるいはAppleにとって、どのような意味をもたらすのでしょうか。

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関連企業の買収

他社製から自社製SSDコントローラーへの移行は、Appleの次の戦略的な飛躍だとAppleInsiderは指摘しています。

Appleは2011年にAnobitというイスラエルの企業を約400億ドルで買収していました。Anobitはフラッシュメモリーコントローラの設計を手掛ける企業です。
AppleはこのAnobitの技術を得て、SSDの主要構成要素を自社製品に切り替えたということでしょう。

ストレージの超高速化・高性能化、次世代アーキテクチャへ

Appleは、AHCIからNVM Express(NVMe)というSSDの次世代高速プロトコルへ移行しました。
NVM Expressは、PCIe SSDに最適化されています。HDD時代のAHCIを介さないことでPCIe SSD本来の性能を引き出すことができ、リード1.4GB/秒、ライト1GB/秒以上の高速転送を可能とします。
加えて、Anobitのコントローラー技術は、高速性能だけでなく書き込み時のエラーを予測し減少させるなど信頼性も高く、アイドル時などの省電力性能も優秀であるという特徴を持ちます。

AppleがSSDコントローラの自社設計に踏み切ったのは、単にストレージの性能向上のためだけではないでしょう。
Appleは、今後、完全に統合化されたNANDアーキテクチャへの大きな移行する前兆となるかもしれないとAppleInsiderは予測しています。


上の写真のオレンジで示した箇所にあるSK Hynix SDRAMの下にApple製NANDメモリコントローラが。一番左の赤の囲みがIntel Core Mプロセッサ。

多大な経済的側面

技術的な革新と同時に、Appleは自社製品のためにサプライヤーからフラッシュストレージの供給を受ける必要がなくなりました。
フラッシュストレージは、ほぼすべてのApple製品に採用されており、今回の移行は東芝、Samsung、SK Hynix、SanDiskなどサプライヤー各社にとって大きな打撃となります。各社はAppleから年間数十億ドルもの注文を得てAppleにNANDを供給しています。

Appleは、いつでも好きなだけ自社製品のためにフラッシュストレージを用意することが可能になります。
MacでもiPhoneやiPadでも、ストレージ容量はそのデバイスの価格を決定する重要な要素です。
たとえばiOSデバイスでは各モデルのラインナップは基本的にストレージ容量の違いだけです。
販売価格の違いほどの容量差のコストがかからないように思える間、Appleは製品の価格決定の鍵を握る最重要側面を完全にコントロールできることを意味します。

Appleにとって、自社製フラッシュストレージチップはこれまで以上にAppleに大きな利益をもたらすでしょう。


iFixitの新MacBook分解については下記をご覧ください。
www.kobonemi.com