Intelの発表した「Thunderbolt 3」について、その特徴とスペック、他の規格との違いや差別化などを整理してみました。
ThunderboltはAppleがIntelとともに開発したインターフェースであり、Thunderbolt3の特徴を見れば見るほど、次のMac製品で採用するのではないかと思わせます。
Thunderbolt3は、最大40Gbpsの伝送速度、デュアル4K/60Hzディスプレイ出力、最大100Wの給電、既存のThunderbolt 1/2、DisplayPort 1.2、PCI Express Gen3 x4の互換性確保、新たにUSBプロトコルの採用とUSB 3.1 Type-Cコネクタ共通化が図られています。
もちろん、イーサネットや外部グラフィックスも利用できます。
いうなれば、ほとんどすべての規格を包含する究極の有線インターフェースです。
搭載製品は2015年末までに発売される予定で、2016年にかけて多数の製品が出回る見込みです。
次期MacBookやMac Pro、iMacなどにも採用されることが期待されます。
最大の利点は、1ポートでコンピュータに搭載されるほとんどのインターフェースをカバーできることです。
こいつがMacBook 12インチに採用されたら、1ポートであることへの不満はさらに少なくなるでしょう。
(より多くのプロトコル対応:USB、Thunderbolt、DisplayPort、PCI Express)
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Thunderbolt 3 の特徴と仕様
- 従来の2倍の最大40Gbpsの伝送速度
- 従来のThunderboltと最新のUSB Type-Cコネクタの互換性を実現する目的で策定
- 新たにUSBプロトコルの転送にも対応
- コネクタをUSB 3.1 Type-Cへ共通化
- 2系統8レーンのDisplayPort 1.2
- シングルケーブルで2つの4K/60Hzディスプレイ、1つの5K/60Hzディスプレイ
- 100Wまでの給電を可能とするUSB PDオプション
- 最大6台までのデイジーチェーン
- USB Type-Cコネクタの拡張仕様となるAltモードを利用
- Altモード:USB 3.1×2系統、USB 2.0×1系統のデータ信号線が用意され、USB 3.1×2系統をDisplayPortやMHLなどに切り替えて利用
- 一般的なUSB Type-Cケーブルで最大20Gbps
- Thunderbolt 3用アクティブケーブル(Thunderbolt 3用USB-C)で最大40Gbps
- 後方互換性:従来のThunderbolt 1/2対応周辺機器利用、Thunderbolt 1/2変換アダプタも
- 新コントローラ「Alpine Ridge」
- Thunderboltのホストとデバイスのコントローラ、2つのUSB 3.1コントローラ、DisplayPort 1.2、PCI Express Gen3 x4に対応
- ホスト/デバイス両機能を持つコントローラのみ提供(従来はデバイス機能のみもあった)
- 対応周辺機器が高価になる懸念:スーパーセットなThunderboltはハイエンドのみを狙う戦略
- 10Gbのイーサネットプロトコルも包含可能、P2P接続、複数のコンピュータとブリッジ接続、Windows/Mac/Linuxの異なるOS間でデータ共有
- 最初の端末は2015年末までに出荷予定
- 2016年にかけて対応製品が増加の見込み
新しいIntel製コントローラ
GIGABYTE 100シリーズのマザーボードは、新型Intel USB 3.1高機能I/Oコントローラーを採用し、今年後期中にThunderbolt 3へ対応するとのこと。
チップセット経由のPCIe Gen.3 x4レーンおよびプロセッサー経由のディスプレイ信号により、IntelのUSB 3.1コントローラーは合計40 Gb/sの帯域を活用できます。Type-CまたはType-AコネクターでデュアルUSB 3.1を接続する場合、このUSB 3.1コントローラーは中断無く両ポートに10 Gb/s帯域を同時提供できます
(…)新型Type-C™コネクターは、10Gb/s帯域やUSB 2.0, 3.0互換を有するUSB 3.1、また次期Thunderbolt™ 3(40Gb/s帯域で12 Thunderbolt機器のデイジーチェーン接続可能)やデュアルDisplayPort 1.2(4K/60Pディスプレイ出力可能)に対応するよう構成することが可能です。
(…)コントローラーがUSB Power Delivery 2.0に対応しているので、USB Type-C経由でノートパソコンやタブレットなどの機器を充電することが可能になります。
これは自作向けマザーボードの話題ですが、どうやらここでいわれているIntel製USB3.1コントローラとは上述の「Alpine Ridge」のようです。
ノートPCなどでも新コントローラを搭載することでThunderbolt 3にも対応できるでしょうし、結局はコントローラのサイズや価格次第ですが、MacBookなどでもUSB3.1と同時にThunderbolt3を搭載することはあり得ます。
次期Macは?
- Thunderboltの採用された製品は、MacBook ProやMac Proなどハイエンドがほとんど。
- Thunderboltコントローラはコストが高めでバッテリー消費を大きい
- MacBookやMacBook Airなどではコストの兼ね合いでIntelチップセット標準コントローラの採用に留まる可能性も
新型MacBook 12インチを除くほとんどの現行Macシリーズは、Thunderboltを搭載しています。
Apple Online Store
- MacBook Air:Thunderbolt 2×1
- MacBook Pro:Thunderbolt 2×2
- iMac:Thunderbolt 1×2
- iMac 5K:Thunderbolt 2×2
- Mac Pro:Thunderbolt 2×6
- Mac mini:Thunderbolt 2×2
Thunderbolt3がThunderbolt2と同じようなコストであれば、上記Mac製品にも搭載してくる可能性はあります。
その上、Thunderbolt3はUSBをも兼ね備えるため、Mac製品に搭載されている標準サイズのUSBをすべて置き換えることも可能です。スペース的には現行製品のThunderboltポート数以上搭載できるでしょう(ここでもコストの問題次第ですが)。
現行MacBook 12インチでは使える?
残念ながら現行MacBook 12インチのUSB-CポートはThunderbolt3には対応していません。
Thunderbolt3の目印はThunderboltロゴであり、対応するUSB-Cケーブルやコンピュータの搭載ポートに稲妻マークが付いていればサポートされていることを表します。
次期MacBook 12インチはUSB-CにThunderbolt3を含めてくるのか、現行モデルを持っている者としては気になるところです。
Intel Alpine Ridgeコントローラを使えばUSB3.1 Type-Cと同時にThunderbolt3も利用できます。
現行MacBookのUSB-Cは転送速度5Gbpsの「USB 3.1 Gen 1」です。これも次期モデルでは10GbpsのGen 2になると予想できます。
一方、Thunderboltを搭載するかしないかで、あいまいだったMacBook 12インチとMacBook Airの差別化が行われるかもしれません。
MacBook Airが今後も生き残るとすれば、このThunderbolt 3を搭載してくる可能性はあります。
時期としては、IntelのSkylakeプロセッサと共に新モデルで採用してくるというのが妥当な見方でしょう。
Source:Thunderbolt Technology Community, Intel, Ars Technica, PC Watch, ITmedia PC USER, GIGABYTE, ASCII.jp