Appleが1月9日にリリースしたiOS 11.2.2には、CPU脆弱性の1つSpectreの影響を軽減するSafariおよびWebKitに対するセキュリティ改善が含まれています。
セキュリティ上重要なアップデートであることは間違いありませんが、この最新版にアップデートしたことで、一部のユーザーは思わぬ事態に出くわしているようです。
iOS11.2.2にアップデート後、iPhone6が劇的に遅くなったことを示す詳細なベンチマーク結果をMelv1nのMelvin Mughal氏は示しています。
なお、デバイスは脱獄はしておらず、電池交換もしておらず、改造などをしていない、いたってノーマルな状態だそうです。
Geekbench 4.2.1によるベンチマークスコアを確認すると、iOS11.1.2ではシングルコアが1561、マルチコアが2665でした。それがiOS11.2.2にアップデート後はそれぞれ924、1616へと大きく低下しました。シングルコアで41%の低下、マルチコアで39%の低下です。アップデート前の6割ほどのパフォーマンスでしかありません。
個々のベンチマーク結果を見ていくと、HTML5やSQLiteのような特定のテストでは、実に5割以上も低下しました。
一方、Forbesによれば、iOS11.2.2へアップデート後、ベンチ結果が以前よりも良くなったという報告もあるようです。この記者の所有するiPhone Xのスコアはアップデート前後で差異がなかったそうです。
では、パフォーマンスが著しく低下するからといって、iPhone6など古いiOSデバイスのアップデートをやめるべきかといえば、これは「必要悪」であり、アップデートすべきだとMughal氏は指摘しています。
追記:このベンチ結果に対して、iMoreのRene Ritchie氏はiOS11.2.2がSpectreの影響を軽減するためSafariとWebKitに修正を加えたのだから、その影響はWebパフォーマンスだけに限られるはずだと指摘しています。Geekbenchの開発者John Poole氏は、それに呼応して、アップデート前は通常モードで、アップデート後は省電力モードを有効にした状態で計測したと指摘しています。
Ugh. The difference is due to low-power mode. The first result was run under normal-power mode, the second run under low-power mode. This is a complete non-story.
— John Poole (@jfpoole) January 15, 2018