Microsoftの新型「Surface 3」、日本での発売はまだ未定ですが、最新のCherry TrailとはいえIntel Atomで499米ドルというのは少々高価ではないかと思うかもしれません。
しかし、販売価格の観点から「Surface 3」を考えてみると、AppleのiPadシリーズにとって、Surface3は脅威となる可能性があります。
というのも、米国では「Surface 3」のWi-Fi下位モデルは、Apple「iPad Air 2」の下位モデルと同じ499ドルだからです。
これは偶然ではなく戦略的な価格設定なのかもしれません。
海外の情報を見ると、Apple系サイト、Microsoft系サイトの両方がSurface3とiPad Air2について比較・検討をしています。そして、通常はiPadの方をほめるであろうApple系サイトでも、Surface3に一定の評価をしているケースがありました。
Surface3は、Surface2までのWindows RTタブレットとは異なり、Intel CPUを搭載し、完全なWindows 8.1が動きます。無償でWindows 10にもアップグレード可能であり将来性も十二分にあります。
フルバージョンのWindowsが動作するため、従来のデスクトップ向けソフトウェアは問題なく利用できるでしょう。
加えて、Surface3はOffice 365の1年間のサブスクリプションが付属します。
一方、iPad Air2やiPadシリーズはiOSアプリだけが利用できます。iOSアプリは膨大ですが、Windowsアプリが利用できるSurface3もそれに劣らない用途の多彩さと魅力があると思います。
iPad向けにもOfficeアプリは提供されていますが、すべての機能が利用できるわけではありません。もしフル機能のOfficeを使いたいなら、それだけでSurface3を選ぶ理由になります。
以下、同じ価格帯の製品として、Surface3とiPad Air2のスペックやできること(できないこと)などについて比較してみたいと思います。
※そもそも比較対象ではないという見方もあるでしょうが、あくまでも同価格だから比べてみるという試みです。
構成と価格(日本価格は税別)
Surface 3
- 2GB RAM, 64GB ストレージ, Wi-Fi:499ドル
- 4GB RAM, 128GB ストレージ, Wi-Fi:599ドル
- 2GB RAM, 64GB ストレージ, Wi-Fi + 4G LTE:599ドル
- 4GB RAM, 128GB ストレージ. Wi-Fi + 4G LTE:699ドル
iPad Air 2
- 2GB RAM, 16GB ストレージ, Wi-Fi:499ドル/53,800円
- 2GB RAM, 64GB ストレージ, Wi-Fi:599ドル/64,800円
- 2GB RAM, 128GB ストレージ, Wi-Fi:699ドル/75,800円
- 2GB RAM, 16GB ストレージ, Wi‑Fi + Cellular:629ドル/67,800円
- 2GB RAM, 64GB ストレージ, Wi‑Fi + Cellular:729ドル/78,800円
- 2GB RAM, 128GB ストレージ, Wi‑Fi + Cellular:829ドル/89,800円
Surface 3 Wi-Fi 64GBモデルと同じ499ドルのiPad Air2 Wi-Fi 16GBモデルは日本では税別53,800円です。
Wi-Fi 128GB同士を比べると、Surface3が599ドルに対しiPad Air2は699ドル。Surface3の方が安くなります。
LTEモデルはすべてSurface3の方が安く、特に128GB同士では価格差も大きくなります。
本体サイズ・重量
大きさや重量を比較してみると、Surface3はiPad Air2より1インチ液晶サイズが大きい分だけ本体サイズも大きいです。
重量はサイズよりも差が出ています。
Surface3の622gに対して、iPad Air2は437g(Wi-Fi)です。
iPad Air2のスマートカバーの重量は102gだそうで、それを足してもiPad Air2の方が軽量です。
ちなみに、Surface3に純正タイプカバーを組み合わせると合計887g。12インチの新型MacBookの920gよりも軽量です。
同期
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メモリー・ストレージ
メモリーとストレージを同じ価格の下位モデル同士で比べた場合、メモリーはどちらも2GBで同一ですが、ストレージは64GBのSurface3の方が16GBのiPad Air2よりも4倍も大きくなります。
CPUについては両者で使えるアプリも主な使い方も異なるでしょうから、ここでは考慮しないこととします。
Surface 3
- 10.8インチ, 1920×1280
- 267×187×8.7mm, 622g
- Intel Atom x7-Z8700
- 2GB/4GB RAM
- 64GB/128GB ストレージ
- USB3.0, mini DisplayPort, microUSB, microSD
- バッテリー駆動時間10時間(動画再生)
iPad Air 2
- 9.7インチ, 2048×1536
- 240×169.5×6.1 mm, 437g/444g
- Apple A8X
- 2GB RAM
- 16GB/64GB/128GB ストレージ
- Lightning
- バッテリー駆動時間10時間(ネット・動画再生)
液晶
ディスプレイサイズは、大きさではSurface3が上回り、解像度ではiPad Air2が上回ります。Surface3のディスプレイはフルHDの縦方向が200ピクセル多いフルHD Plusと呼ばれています。アスペクト比はSurface Pro3と同じ3:2です。
周辺機器
利用できる周辺機器もSurface3は有利です。
標準サイズのUSB3.0に加えて、DisplayPortやmicroSDカードリーダーも備えています。セカンドディスプレイとして液晶ディスプレイを接続したり、USBやBluetoothのマウスやキーボードも接続可能です。
一方、iPad Air2にはLightningポートがあるだけです。外部ディスプレイは接続できず、iOSデバイスはBluetoothキーボードをサポートしていますが、マウスは利用できません。
バッテリー駆動時間・充電方法
バッテリー駆動時間はどちらも10時間とされており、使うアプリによって左右されるでしょうが、ほぼ同等とみれると思います。
充電・給電についても、Surface3はmicroUSBポートから行えます。iPad Air2やAndroidタブレットと同じです。
たとえば、iPhoneとSurface3を1つのUSB-AC充電器(USBアダプター)が利用できます。もちろん、出力の小さなUSB充電器ではSurface3の充電に時間がかかるでしょうが、Surface3付属のUSB-ACアダプターの出力が13Wであり、iPadの充電器が12Wであることを踏まえれば、iPadの充電できるアダプターやモバイルバッテリーであれば、Surface3にも使える可能性があります。
通信
Wi-FiやBluetoothは同等です。どちらもLTEモデルがあります。
対応する周波数などで違いが出てくる可能性はありますが、通信機能は両者互角といえると思います。
スタイラス/デジタイザ
Surface3では別売りのスタイラスも利用できます。Surface Pro3と同じスペックの筆圧検知256階調のデジタイザです。Surface2ではペン入力に対応していませんでした。
iPad Air2もサードパーティから数多くのスタイラスペンが発売されています。
以上、簡単にまとめると、Surface3の特徴として、
- 下位モデル同士でiPad Air2と同じ価格で4倍のストレージ容量
- LTEモデルでSurface3に割安感
- 完全なWindowsが動き多くのアプリが利用できる
- iPad以上に多彩な周辺機器(ディスプレイ、マウス、メモリーカードなど)を利用できる
- iPad Air2にはかなわないが、キーボードを合わせても新型MacBookよりも軽量
- USB充電対応で、モバイルバッテリーやUSBアダプターを流用可能
- Surface2では非対応だったデジタイザが利用可能、Surface Pro3と同等性能
- フル機能のOfficeが付属
などを挙げることができます。
今後日本での販売価格が気になりますが、iPad Air2と日本での価格も大きく違わないのであれば、iPad Air2の代わりにSurface3を検討するユーザーも少なくないのではないでしょうか。
Source:Microsoft, Cult of Mac, Windows Central