次期iPhoneでもサファイアはやはり採用されないであろうと著名なディスプレイ専門家は述べています。
なぜ、新しいiPhoneにもサファイアを搭載しないのでしょうか。
DisplayMateのRaymond M. Soneira氏は、将来のApple製品とサファイアについての見解を披露しています。
また、Soneira氏のレポートを受けて、BGRのBrad Reed氏は、サファイアに若干の技術的な進展はあるかもしれないが今後2年、サファイアディスプレイを搭載したiPhone 7にもあまり期待すべきではないと解説しています。
高い反射率が命取りに
Soneira氏は、特に、サファイアがCorning Gorilla Glassと比較して非常に高い反射率を持つ点に注意します。そのような特性のあるサファイアに反射防止コーティングを施すことはサファイアのスクラッチ耐性(引っ掻き傷等に対する耐久性)を損なうことを指摘しています。
反射防止コーティングとは
反射防止コーティングは、iPad Air2に初めて採用されました。
Appleは公式サイトでは「反射防止コーティングを加えたことにより、iPad Air 2はタブレットのディスプレイとして世界で最も低い反射率を実現」したと説明しています。反射防止コーティングにより「光の映り込みを56パーセント抑え」ることができました。
おそらく、Appleの次期製品は反射防止コーティングを採用するとSoneira氏は説明しています。
将来のiPhoneにおけるサファイアは考えなくて良い。というのも、それ自体8%という非常に高い反射率を備えるサファイアに反射防止コーティングを施したのなら、柔らかいコーティングを上に塗布するわけで、サファイアの非常に高いスクラッチ耐性能力を失うことになる。
あるいは別の見方をすれば、サファイアディスプレイに反射防止コーティングを用いれば、そもそもサファイアを使う主要な理由がなくなり、サファイアを使うこと自体を無意味にする。
サファイアはモバイルディスプレイに適さない?
つまり、サファイアの持つ高い硬度は、反射防止コーティングを塗ることで、意味をなさなくなります。反射防止コーティングはそれよりも柔らかく、サファイアの持つ大きな利点がまったく生かされないからです。
では、反射防止コーティングを使わなければ済むのでは、といえば、サファイアは反射率が従来のガラスよりも高く、そのままではモバイルデバイスなどのディスプレイに使いにくいということなのでしょう。
iPhoneとサファイアについて
iPhone6/6 Plusでは結局サファイアガラスは用いられませんでした。
サファイアが搭載されば、もう液晶保護フィルムはいらなくなると思っていたのですが、そうなることはありませんでした。そして、皮肉なことに、iPhone6/6 Plusはその美しい曲面ディスプレイによって、iOSデバイスで最も液晶フィルムの貼りつけにくい製品となっています。
それでは、来年こそは、iPhoneにサファイアが搭載されるのではないかと期待をかけるも、Appleにサファイアを供給していたGT Advanced Technologiesは今月経営破たんしてしまいました。