iPad mini、Nexus7、Kindle Fire HDのディスプレイ表示について、DisplayMateが詳細なテストレポートを公開しています。
（iPad mini）
全体的な評価では、iPad miniが「B-」、Nexus7が「B＋」、Kindle Fire HDが「A-」です。iPad miniの表示は“very capable”（とても高性能）だとしています。しかし、いくつかのテストにおいて他社製品のレベルに達していないとDisplayMateはその結果を検証しています。iPad miniは確かに非常に優秀な小型タブレットです。しかし、最高のディスプレイや少なくとも優秀なディスプレイを提供してきたAppleのこれまでの伝統からすれば、その後に続くものではないとし、辛口の評価となっています。多くのテストにおいて、Nexus7やKindle Fire HDはiPad miniを上回っています。これは、iPad製品ラインナップ上の制約、ディスプレイ技術およびコスト上のいくつかの現実的な制約から生じています。それは多くの低い選択と妥協の産物であるとしています。
しかしながら、iPad miniをとても優秀だとする理由に、Appleの持つ超一流のキャリブレーション技術が挙げられています。これにより、元々はそれほど高くはない性能のディスプレイも数段上のクラスのディスプレイになるようです。iPad2とほぼ同じ性能といわれるiPad miniにとっては何ともふさわしいような気もします。
（Nexus7とKindle Fire HD）
DisplayMateのレポートは長いためすべてを読むのは大変です。そこで、Mac Rumorsがコンパクトにまとめた記事を参考に、具体的に評価の低かった項目と高かった項目とを見ていきます。
ディスプレイ低解像度
- iPad miniの画素密度は163ppiです。一方、Nexus7およびKindle Fire HDは216ppiです。こうしたスペックの違いがまず3製品の違いとして現れています。しかし、それ以外にもいくつもの差異が生じています。
ディスプレイ反射率
- iPad miniのスクリーン反射率は9.0％です。これは“非常に高い”数値だとDisplayMateは指摘しています。反射率の低い方が明るい場所で見やすくなります。Kindle Fire HDの反射率は6.4％、Nexus7は5.9％であり、Nexus7が最も優秀な結果でした。
カラーガンマと色再現性
- カラーガンマとは、ディスプレイが表示できる色の範囲を示すと説明されています。iPad miniのカラーガンマは62％でした。Nexus7およびKindle Fire HDはどちらも86％であり、iPad miniよりも再現できる色の範囲が広いということになります。
- ちなみに、iPad2やiPhone4は62〜64％でありiPad miniに近いです。iPad3およびiPhone5は100％とのこと。
工場出荷時のディスプレイキャリブレーション
- LCDパネルは、生産工場において専用のファームウェアとソフトウェアによって調整やキャリブレーションが行われると説明されています。このキャリブレーションによってスマートフォンの小さなディスプレイから大画面の液晶テレビまで高品質なイメージを表示できるようになります。
- Appleは正確なキャリブレーションにおいてリーダー的な存在であるといいます。iPad3とiPhone5は、ハイエンドな高画質テレビなどを含む工場でのキャリブレーションにおいて、これまでの製品で最高の調整が行われているとDisplayMateは評価しています。そして、iPad miniもそのAppleの伝統に従いキャリブレーションされているとしています。
見え方のテスト
- プロ用のスタジオモニターやiPad3と比べて、iPad miniは実質的には完璧な工場キャリブレーションとカラーガンマを備えているといいます。
- 上述のテストでは結果の低かったカラーガンマでしたが、iPad miniはかなり正確な画質と色精度を持っているといいます。これは通常のタブレットやスマートフォンでは行われることのないカラーマネージメント処理によるものだといいます。
iPad miniのディスプレイは、それほど高いスペックではなく、一見するとライバル製品よりも見劣りするかもしれません。しかし、AppleがiPhoneやiPadで培ってきた技術により、iPad miniの完成度は飛躍的に高められています。Apple以外のメーカーがこの性能のディスプレイをそのまま使うことはおそらくできないでしょう。Appleだからこそ、iPad miniを生み出せたのだといえます。
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