iPhoneとUQモバイルでインターネット共有(テザリング)を使えるのはiPhone 6s/SE/5sなどで、SIMフリーのiPhone X、iPhone8、iPhone7などでは利用できません。このことは以前の記事で実際にiPhone Xを使って挙動を確認していました。
追記:2018年10月現在、UQモバイル、iPhone X/XS/8などでもテザリング可能に
追記:2018年9月現在、iOS12にアップデートしたiPhone7はUQモバイルでテザリング可能に
というわけで、最新のiPhoneでもUQモバイルSIMでインターネット共有が可能になりました。
以下の方法はもう必要ないかと思いますが、記録として残しておきます。
今回、別の方法でインターネット共有できないかを調べて、その方法を見つけることができましたので簡単に書き留めておこうと思います。
インターネット共有とは、iPhoneやセルラー版iPadのモバイルデータ通信をパソコンなど他のデバイスと共有することです。iPhoneとパソコンの場合、Wi-Fi、Bluetooth、USB接続でインターネット接続を共有することができます。
インターネット共有可能な場合、iOSデバイスの 設定 > インターネット共有 でオンにできます。しかしながら、UQモバイルやmineoなど特定のキャリアとiPhone X/8/7など比較的最新のiOSデバイスではこの設定からインターネット共有を利用することはできません。
今回見つけた方法はいわば温故知新な方法で、おそらくは手間もかかり決して利便性の高い方法ではありません。理論的には、キャリアに限られず、UQモバイルでも、mineoでも、その他のキャリアでインターネット共有を提供していないとしても使うことができると思われますが、非公式な方法であり、iPhoneやパソコンに影響を及ぼす可能性もあります。
用意するもの
- Wi-Fiを搭載したパソコン
- iPhone
- 専用アプリ
アプリは、自分で作るか、誰かが作ったコードからサイドロードするしかありません。サイドロードとはMacとXcodeを使ってiPhoneにiOSアプリをインストールする方法を指します。
Redditのある投稿は、1年前のものですが、比較的最近の、この方法を知るきっかけとなりました。
この投稿によれば、githubに公開されているコードを使ってiPhoneにサイドロードし、そのアプリを使ってPCやMacとテザリングを可能にします。投稿者いわくサイドロードしたアプリはSOCKSプロキシ経由でいくつかのプロトコルを通すだけのシンプルなものです。このネットワークの構成を理解すれば、iPhoneとパソコンやiPadを接続したり、iPhoneとルーターを接続し複数のデバイスでインターネット共有も可能です。投稿者はiPhoneでVPNを実行し通信を暗号化することをすすめています。
この方法の概要としては、iPhoneに専用アプリをインストールし、パソコンとアドホック接続し、iPhoneのインターネット接続を共有するというものです。
これでピンときたら、古いiPhoneユーザーのはず。
はるか昔、iPhoneのテザリングが解放されていなかった時代(ソフトバンクからしかiPhoneが販売されていなかったころです、たぶん)、この方法を使ってパソコンを接続している猛者が存在していました。しかしながら、主要キャリアでインターネット共有が標準搭載になり、このことはいつの間にか忘れ去られていました。
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アプリについて
アプリは自分で用意する必要があります。上記投稿にリンクのあるgithubで公開されているコードは製作者によればiOS11に最適化されています。
サイドロードする方法は、上記Redditの投稿にも簡単ですが記載があり、その一例としてゲームエミュレータ「Provenance」をインストールする方法が紹介されています。以前Apple TVに「Provenance」をインストールする方法を紹介しましたが、それも参考になるかもしれません。
サイドロードする場合、XcodeをインストールしたMacとApple IDが必要です。なお、開発者アカウントではなくともiPhoneにアプリをインストールすることは可能です。ただし有効期間は7日間と短くなります。期限が切れた場合その都度アプリを再インストールする必要があります。
接続手順
- パソコンでアドホックネットワークを作成
- アドホックネットワークにiPhoneを接続
- iPhoneでアプリを起動、IPアドレスとポートを確認
- iPhoneで接続したネットワークにIP、DNSを設定
- パソコンにIP、DNS、SOCKSを設定
一番シンプルなのはiPhoneとMacBookをアドホック接続することです。
MacBookで作成したアドホックネットワークにiPhoneを接続し、アプリから得られるIPアドレスとポート番号をそのネットワークに設定します。MacBookではネットワークの詳細設定からネットワーク内の別のIPアドレスを設定し、ルーターとDNSアドレスにiPhoneのIPアドレスを指定します。また、SOCKSプロキシにはiPhoneのポート番号を指定します。
応用編として、iPhoneと無線LANルーターを接続し、PCやMac、iPadなど複数のデバイスでiPhoneのインターネット通信を共有することもできます。無線LANルータは特に何でも構いません。自宅などに設置してあるもので自分でWi-FIネットワークの設定変更ができれば問題ありません。
Wi-FiルータのデフォルトゲートウェイとDNSをiPhoneのIPアドレスを指定し、あとはインターネット共有したいパソコンやデバイスをそのルータに接続するだけです。なお、iPadなどiOSデバイスは上記MacBookと同様にSOCKSプロキシを指定しますが、その場合HTTPプロキシに入力します(例http://xxx.xxx.xxx.xxx:8080/socks.pac)。
以上でiPhoneと他のデバイスでiPhoneのインターネットを共有できるようになります。
この方法の難点の1つは接続するまでに手間がかかることです。iPhoneの設定からトグルスイッチをオンにするだけ、というわけにはいきません。
多くの場合そこまでするならもっと便利で簡単な方法をとる方が賢明です。
より合理的な方法
契約しているSIMカード(今回ならUQモバイル)に対応したモバイルWi-Fiルータに、そのSIMカードを挿入しルーターとして使うのが最も簡単な方法です。
UQモバイルの動作確認端末一覧を見ると対応端末を確認できます。
UQの一覧にはありませんがNEC Aterm MR05LNやMR04LNで利用しているというレビューもあります。mineoの動作確認端末一覧にも記載があります。
あるいは、iPhone 6sかそれ以前のiPhoneであればUQモバイルSIMでもインターネット共有が可能です。iPhoneX/8/7で使えるVoLTE用マルチSIMはiPhone 6s/SEでも使えます。これらデバイスであれば今回のような方法をとらずにもっと楽にテザリングできます。