iPhone6／6 PlusのNFC、Appleのためだけに特別に設計されていたことが判明〜Chipworks

「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」に搭載されたNFCコントローラチップは、Appleのために特別に作られた、少なくとも標準的なNFCチップとは異なるものであることが判明しました。

Chipworksは、iPhone6／6 PlusのA8チップ、リアカメラ、NFCチップなどに関する詳細なレポートを公開しています。
特にここではNFCチップについて確認してみます。
Chipworksの入念なチェックによれば、iPhone6／6 Plusに搭載されるNFCコントローラはNXP製PN544またはその変型です。

Appleが今後どこかの時点でApple Pay以外の機能のためにiPhoneのNFCを開放するという大方の予想は、かなりカスタマイズされた装置の代わりに標準的なNFCコントローラが使われているという予測を支持します。
今回、我々はiPhoneのNFCコントローラがPN548であると明らかに特定することができます。このコントローラはこれまでに発表されていないNXP製PN544とPN547の変型です。業界筋はAppleのために特別に調整されたものであると特定します。

Chipworksによれば、装置で確認できる設計完了の日付は2012年を示し、Appleは18カ月以上の間このチップに携わってきました。
BGRは、これを受けて、Appleは他のモバイルデバイスでは利用不可能な、Appleのためにカスタマイズされたような特別なNFCチップを利用していると伝えています。
ここで、iPhoneとNFCについて、これまでをおさらいしてみましょう。
iPhoneにNFCが搭載されることが発売前から噂され、実際に搭載されたことで、iPhoneでもおサイフケータイなどFeliCaを利用できるのではないかという期待が広がりました。
その後、iPhoneのNFCにFeliCaに必要なセキュアエレメントを搭載しない限り、現状ではiPhoneのNFCでFeliCaをそのまま使うことはできないという見方で落ち着いたようにみえました。しかし、iPhoneのNFCが世界標準のType-A／B方式であれば、Appleがその利用を解禁さえすればType-A／B方式対応の決済システムでiPhoneを使うことができると考えられていました（関連記事）。
iPhone6発表から少し経って、Appleは公式にiPhone6／6 PlusのNFCチップがApple Pay専用であることを明らかにしました（関連記事）。しかし、これまで利用の制限されていたTouch IDがAppleによって開放されたように、NFCも時期にそうなるという予測が今度は広がりました。その予測は、上述のChipworksの通り、iPhoneのNFCが標準的なNFCであるという前提に基づいています。
たとえば、日本でも次のように予測されています。

−iPhone 6の場合は、Apple Payに用いるNFCのハードウエア構成はどうなるか。
現時点では、外部に情報は出ていない。iPhone 6が発売されれば、当日のうちに分解されるだろうが･･･。
恐らくは、アップルが管理するTypeA/TypeB対応のセキュアエレメントが組み込まれるだろう。
インタビュー＆トーク - Apple Payは日本で普及するか、モバイルNFC協議会に聞いた：ITpro

上記のインタビュー記事は今回のChipworksのレポートの前の日付のものです。
しかし、Chipworksのレポートを見てしまうと、Appleが結局NFCの利用を解禁したところで、それ専用に設計された装置しか利用できないのではないか、そのままでは標準的なType-A／B方式さえ利用できないのではないか、とも思えます。そうだとすれば、たとえば駅の改札機やコンビニの非接触カードリーダーがiPhoneのNFCでも利用できるように改良されることでもない限り、現在のAndroidスマートフォンなどと同じようにiPhoneでモバイル決済を利用できることはなさそうです。
ただし、ChipworksのレポートはiPhoneのNFCに「TypeA/TypeB対応のセキュアエレメント」が内蔵されているのかどうかについては触れていないようです。独自の設計でありながら、しっかりと標準対応もしてくる可能性もあります。個人的にはそうなってほしいと願います。
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